【中級者向け】移動平均線(MA)の真実
こんにちは、KZです。
大切な事なので、今後インジケーターについての記事の一番初めには毎回同じことを書こうと思います。
インジケーターとは”統計学的な傾向を示す方程式”のことです。
「~~する傾向にある」、ということは「絶対に~~する」という意味ではありません。
自分がローソク足のどういった動きを取りたいのかを掘り下げていったとき、チャートはどのように示しているか。それを視覚的にサポートしてくれるのがインジケーターです。
なので、エントリートリガーとしてインジケーターを使うのではなく、チャートが現在どのような形になっているかを確認するためにインジケーターを表示させるのです。
ローソク足の動きや、ダウ理論、水平線、トレンドラインなどAIに出来ないトレーダーとしてのスキルに掛け算で使うのがインジケーターです。
基礎トレーダースキルが0であればまったく意味がありません。
これが大前提です。
基礎トレーダースキルが0であれば、どんなに優秀なインジケーターを使っても結果は0です。
トレードの怖いところは結果が0であれば残高はマイナスになるということです。
なので、インジケーターの紹介から中級者向けにしています。
目次
- 1.移動平均線(MA)とは
- 2.種類と計算式
- 3.パラメータについて知る
- 4.上位足の移動平均線
- 5.移動平均線、向き、角度、相対位置
- 6.ローソク足と移動平均線の乖離、戻り、停滞
- 7.複数期間の移動平均線
- 8.移動平均線はサポレジとして機能する
- 9.移動平均線タッチはエントリートリガーではない
- 10.まとめ
1.移動平均線(MA)とは
英語ではMovingAverageと言い、MAと略されます。
今回当ブログでも移動平均線という言葉より、MAと表記していきます。意味よりもMAという記号で覚えてください。
MAというのは「n期間分のローソク足の終値平均を表した連続折れ線グラフ」のことです。
nというのはユーザー側で設定可能で、この数字の大小で役割が変わってきます。
期間分というのはローソク足何本分か、ということで、日足なら何日分のMAということになります。
また、終値をもとに平均していますが、始値に変更することもできます。
この終値の平均値が連続して折れ線グラフになるということです
ローソク足一本が右にずれるたびに、平均を取る期間も移動するので、”移動平均線(MA)”と呼ぶわけです。
MAというのは何なのか、理解できたかとは思いますが、これが結局何を示していて、どのようにトレードに活かしていくのか。
これがキモかと思います。
MAを使うことで”トレンドの方向”がわかって、”環境認識”に役に立つのです。
MAというのはレンジかトレンドかを見極めることが出来、トレンド中の押し目や戻しなのか、トレンドからレンジに入ったもみ合いなのか、そういった相場の”流れを視覚的に捉える”ことができるツールです。
さてさて
チャートって「海図」って意味があるみたいです。
「海図」を見ながら航海しますけど、それだけじゃ海で迷子になっちゃいますよね。
現在地はどこ? 周りは海しかないけど何を目標にすればいいの? どれくらいで目的地に着くの?
わたしはトレードを航海に例えることが多いです。
自分は船長、船はブローカー、風は相場、目的地は利益。
他にもいろんな道具がありますよね。ローソク足は風向き、ダウは星見、水平線は望遠鏡。
そんな中でMAの立ち位置は?と言えば、コンパスかなぁーって思ってます。
2.種類と計算式
①種類と特徴
MAにも種類があります。
単純な割り算で平均値を求め、それを折れ線グラフ化するのが単純移動平均線(SMA)
指数関数を用い、直近と最遠の値に計算上差をつけて折れ線グラフ化するのが指数平滑移動平均(EMA)
直近と最遠の値に差をつけるのはEMAと変わらないけど、指数関数ではなく定量ずつ変化させて計算するのが加重移動平均(WMA)
基本はこの3種類が使われます。
SMA>EMA>WMAの順番でメジャーと言えるでしょう。
SMAが一番反応が鈍いです。
なぜかというと、EMAやWMAは直近の値に重きを置くからです。直近の値を重視して、平均化してる値は出しているものの、大きく変化したときには敏感に反応するように計算しているのがEMAとWMAです。
WMAとEMAを比較すると、WMAのほうがローソク足に近い形で推移しています。
しかし、折れ線グラフの曲がっている部分に注目すると、WMAとEMAは同時に同じ方向に曲がっているので、感度は変わらないことが分かりますね。
②計算式
単純移動平均(Simple Moving Average; SMA)
直近n本のローソク足の重みづけのない単純な平均のこと。
例えば10SMAであれば、直近10本のローソク足終値の合計値を10で割ったもの。
指数平滑移動平均(Exponentially Smoothed Moving Average; EMA)
考え方としては、統計学の指数平均を参照してほしいです。(専門的になりすぎるので紹介しにくい)
ざっくりですが、単純に10EMAとなった場合、直近ローソク足の終値を2倍にし、さらに10EMAであるものの、11で割るという形です。
加重移動平均(Weighted Moving Average; WMA)
こちらは個々のローソク足の終値を線型的に減少させて平均値を出します。
10WMAであった場合、1*10+2*9+3*8...と言ったように、一定量ずつ加重させて、直近のデータほど加重率が高くなるというような計算式です。
5期間での各MAを計算してみます。ローソク足の終値をそれぞれA、B、C、D、Eと仮定し、Eを直近データとします。
SMA
A+B+C+D+E / 5(5期間なので)
EMA
A+B+C+D+E+E / 6(5期間ですが直近データを2回計算しているので)
A+2B+3C+4D+5E / 15(5期間ですが加重している分があるので)
③結局どれ使えばいいの?
非常に難しいですが、”なに使ってもいいんじゃね?”が結論になるかな、と思います。
まず第一に、どの種類を使っても値は大きくは違わないということ。
第二に、十人十色のトレーダーがいる中で、自分がどういう情報をMAから得たいかというのが違うということ。
投げやりな意味ではなく、”人によって違う”が正解だと思います。
SMAはなめらかな動きをするので、トレンド方向性を正確につかむことに長けています。ワンピースで例えるとエターナルポース的な。
EMAはSMAに比べて反応が敏感なので、トレンドの発生や収束するタイミングが捉えやすいメリットがあります。ワンピースで例えると通常よりログ貯めるのが早いよ、みたいな感じ。
WMAはローソク足の終値に近いという習性がありますので、トレンドが出てから終わるまでに強いイメージです。こちらは通常のログポース的な感じ。
何を選ぶかはその人次第かなぁと思います。
使用率で言うと、SMA>EMA>WMAになります。
勢いを見たければWMA、サポレジとして見たければSMA、EMAというような感じで使えればいいのかな~と思います。
3.パラメータについて知る
パラメータとは、n期間ローソク足、のnの部分です。
初心者の方でこの期間を聞きたがる人が大勢いますが、それってあんまり意味がないです。
なぜなら、その人がやりたいトレードが人それぞれ違うからです。
例えば5分足をメインにトレードしてる方に1時間足のnSMA効きますよ!と言っても、5分足上で1時間足ベースのSMAが関わってくるタイミングって実はそんなになかったり。
そういうこともあるので、「効くパラメータ探しは誰も得しない」というのは覚えておいてもいいと思います。
じゃあパラメータの設定どうすればいいの?
という話ですが、それはトレードスタイルと相談しましょう。
恐らく2つか3つ程度見ている時間足があると思います。
環境認識(上位足の状況を見る)を行う時間足
自分が狙う値幅を見る時間足(わたしはベース時間足と呼んでいます)
エントリーを狙う時間足(より細かく見る時間足)
環境認識とベース時間足が同じ人もいれば、エントリー足を表示しながら環境認識をのときだけ上位を見る人もおられるかと思います。このへんも自由ですね。
ただし、いくら複数の時間足を見ているからと言って、見ている時間が半々ということはないと思います。
よく見ている時間足を基本に設定しましょう。
ざっくりですが、よく使われるパターンを書いていきます。
7,14,42という、短期・中期・長期のパラメータ
日本の誇るインジケーター一目均衡表から
9,17,26という同様の短期・中期・長期のパラメータ
5,8,13,21...(まだまだ続く)というパラメータ
MACDというインジケーターを作った人がおすすめしてたパラメータ
6,19という短期・中期
12,26という短期・中期
19,39という短期・中期
ボリンジャーバンドというインジケーターの初期設定
20期間SMA
このあたりがいわゆる”有名人が推奨してたり、インジケーターの初期設定となっているので使ってる人が多いんじゃない?”というパラメータ設定です。
ちょっとした法則性が見えてきますね。
短期=5~10
中期=10~40
といった感じで捉えられているような感じがあります。それ以上は長期って感じですね。
あとは「キリのいい数字(5の倍数)」とか、「黄金比で出てくる数字」とか、日足で表示させる場合は「営業日数の21日MA」とか、そういう考え方もあります。
とにかく戦う時間足によってどんな基準かは違いますし、欲しい情報を違うと思いますので、”パラメータは得たい情報があやふやなうちは悩んでも無駄”という認識でもよいかと思います。
※短期、中期とか、1本だけ表示させるの? 複数?とかっていうのは後述します。
4.上位足の移動平均線
先述しましたが、エントリーしたい時間足を見る人で、環境認識も同時に行えたらな、と思った人はいらっしゃいますか?
ディ・モールトベネッ!(とてもいい感じです)
非常に効率的な思考ができてるなぁと感心します。
いちいち何時間足…何分足…ってカチャカチャすると脳みそが混乱しちゃう
いやそもそもめんどくさい
いろんな理由があると思いますが
「上位足のMAの向きとかを今見てる画面で見れれば環境認識間違わなくない?」
イエス! イグザクトリィ!
やり方は、「掛け算」しましょう。
例えば15分足で、1時間足の20SMAを表示したいとき、どうすればいいか?
15分足は4本で1時間足になりますね? 20SMAということは1時間足20本分の平均を取るわけです。
ということは…15分足×4×20=80になるので、15分足80SMA=1時間足20SMAということがわかります。
そして先ほども言いましたが、20SMAというのはボリンジャーバンドのミドルラインですね。
こんな感じで、上位足の20SMAではこんな風に動いているんだな、というのが、現在の時間足でも見ることが出来ます。
そうすれば頭も混乱せずに、カチャカチャ切り替えることもなくすんなり環境認識できますよね?
上位足の**SMA(EMA)は表示しておくと環境認識の一助になる!
5.移動平均線、向き、角度、相対位置
雪、無音、窓辺にて。みたいな語感でなかなか古のオタク感が出ますね。
さて、種類やパラメータの話をふんだんに盛り込んできましたが、MAを表示させることで何が分かるか、しっかり覚えていますか?
MAを使うことで”トレンドの方向”がわかって、”環境認識”に役に立つのです。
最初のほうで言ったことを思い出してください。
ここでは、どうやってトレンドの方向がわかるのかを解説していきたいと思います。
①MAの向きでトレンドを判断する
タイトル通りですが、上向きならアップトレンド、下向きならダウントレンド、横向きならレンジという状態が判断できます。
画像のMAは10期間のSMAです。
10期間MAは短期の扱いなので、ローソク足に敏感に反応しています。
アップトレンド最中の戻しに対しても一瞬横向きになってますから、それを見て「レンジに戻った!」という誤った判断をしてしまうかもしれません。
敏感であるということはこういったリスクもあるということは覚えておきましょう。
中期MA、長期MAとなればなるほど多くのチャート情報が含まれており、信頼性は高まります。
しかし、反応自体は鈍いので、中期MAでトレンド転換した場合にはもうすでに遅いこともあります。
ではどのように向きで判断すればいいのか?
そこで基本のローソク足の動き、ダウ理論、水平線と組み合わせる必要が出てきます。
例えば下向きの中期MAを価格が上抜けしました。
しかし中期MAなので、まだMAは下向きといったときに、上抜けした価格がキレイに波を作って、前回安値を更新しなかった。(ダウ理論のトレンドですね?)
そのような場合はトレンドが転換したことを見越して、アップトレンドになったと判断してもいいわけです。
・下向き中期MAの価格を上抜けして、ダウ理論でアップトレンド転換が見れた。
・下向き中期MAの価格を上抜けして、意識されていた水平線もブレイクした。
・下向き中期MAの価格を上抜けする際に、ローソク足の下ヒゲが何本も見て取れた。
このように、先に上げたトレーダー基礎スキルと合わせて使うことで、環境認識の精度が上がります。
②MAの角度でトレンドの強さを判断する
またもやテーマの通りです。
水平線というのは買いも売りも同数程度の注文が”続いている”と言う状況です。
n期間の平均なので、平行であるということは、その価格帯の時間がn期間続いているということですね。
なので、平行、もしくは平行に近いこと=レンジ状態であるとして考えるのは前項で説明しました。
平行=180°で、MAが90°というのはありえませんから(時間軸は横に流れていくため、直角はない)、その中の範囲でトレンドの強さを判断していくことになります。
が!
ここで目安を紹介できればいいのですが難しいです。
5SMAでは敏感に反応しやすいので、大きく終値が動けば直角に近い角度はすぐに出ます。
逆に100SMAであれば非常に鈍感なので、角度はなかなか出ません。
このように使っているパラメータによって、どの程度の角度でどの程度の強さというのは変わってきます。
そしてこの角度を見て判断できるのがいわゆる”MAを使う経験”と言われる部分になります。
自分が使っているパラメータがどのような勢いだったら、どのように反応していくのかしっかり見ていきましょう。
③MAとローソク足の相対位置
表示しているn期間MAに対して、ローソク足がどの位置にいるか、というのも非常に大事です。
これはボリンジャーバンドを使っていてもそうなんですが、”MAに近付いているのか、離れているのか”を視覚的に判断していきましょう。
例えばアップトレンドとはMAも上向きになり、グイグイと上がっていく局面のことを言います。
ですが、グイグイと上がる中にも上がっては下がり、また上がっては下がりを繰り返し、波形を描いて価格は推移していきます。
その際になるべくいいエントリーポイントを探すのであれば、MAに近付くのを待ってエントリーして、離れていくときの流れを取りたいものですね。
6.ローソク足と移動平均線の乖離、戻り、停滞
5項では移動平均線に着目したパートでしたが、こちらのパートではローソク足に注目して書いてみようと思います。
解釈は全く同じなんですが、前項の相対位置をローソク足の視点で見てみるのが主旨になります。
価格とMAの挙動について、3パターン説明します。
①ローソク足がMAから乖離する
価格がMAから離れていくことをいいます。
全項目で説明した、MAから離れていくときトレンドに順張りすると大きく伸びるというパターンです。
②ローソク足がMAへ回帰する
ローソク足がMAから離れたら次は戻ってくるというパターンです。
ローソク足の動きとは波形を描いていますから、常に価格は上がれば下がってくるし、下がったら上がるわけです。
上がる、下がるというのは主観的な考え方なので、基本がなければ今上がってるのか下がっているのかというのはわかりません。
その基本となる価格が「n期間の平均線」、つまりMAになってくるわけですね。
波形を描いている以上、離れていけば、戻ってくる、という話です。
③ローソク足が停滞し、MAが追い付いてくる
トレンドの終わりの動きによくあります。
トレンドの終了時、高値を更新できずに、そのあたりの価格帯でローソク足が停滞すると、n期間分のデータの古いほうが、現在の価格に追いついてきてしまうパターンです。
図ではMAの上側で推移していたローソク足ですが、黄色〇のあたりで失速しています。
そして新たな高値をつけることができず、MAに追いつかれてしまう=トレンドの終了という見方が出来る、という動きです。
④まとめ
ローソク足とMAを組み合わせると、3パターンの挙動しかないことがわかると思います。
今ローソク足はどのように動いているのかを把握できれば、狙っていく価格の動きも迷惑にわかると思います。
なので、これからローソク足は乖離するのか、回帰するのか、停滞するのかを見極めて分析してみましょう。
7.複数期間の移動平均線
つまり、移動平均線を何本も表示します、ということです。
短期MA、中期MA、長期MA、どれを参考にしていいかわからないなら全部使えばいいじゃない。みたいな感じです。
複数本使うことで、環境認識の精度を高めると同時に、視覚的にわかりやすい分析もあるので先に紹介します。
①ゴールデンクロス&デッドクロス
今回はわかりやすいように10MAと25MAを使いましたが、これは自由です。
短期×短期ですが、これを短期×長期に変えてもいいですし、中期×長期でもいいです。
敏感なほうが鈍感なほうを上に抜いたらゴールデン、逆に下に抜いたらデッドです!
重要なのは”2本のMAがクロスしたところを**クロスという”ことであります。
ただしこれはエントリータイミングだとか、これが出たからアップorダウントレンドだとかではなく、あくまで視覚的補助。
一目見て、「おっ、**クロスだな」ってわかったら、今度は自分の分析を開始するという程度のことです。
何度も言いますが、ローソク足の挙動、ダウではトレンド継続するのか、近くに意識される水平線はあるのかないのか。
組み合わせる期間にもよりますが、トレンドの方向性の分析に役に立ちます。
②パーフェクトオーダー
期間に関しては見やすいように、わかりやすい数字を入れました。
こちらは期間の違う3本のMAが同じ向きに揃った時をパーフェクトオーダーといいます。
全部同じ向きなんだから確度が高い!という理論をもとに使われます。
終わり際に注目してください。
”全てのMAが同じ向き”というのが条件なので、一番敏感なMAが水平を向き出した時点で終了です。
③考え方と組み合わせ
結局、なに期間の組み合わせがいいの? と迷われる方もいらっしゃると思います。
しかし、どのようなトレードスタイルなのか? どのような時間足を狙うのか?
そういった状況次第で組み合わせは変わってくると思いますので、言及は難しいと思います。
だからといって示さないわけではなく、どのようにして組み合わせたら自分の欲しい情報を得られるのかに焦点を絞ってお話ししたいと思います。
パターン①ローソク足数本分のトレンドを判断したいとき
5,10,15と言った短期MAを複数表示させる。
敏感なMA3種類でパーフェクトオーダーをトレンド方向とすることで、早い段階からトレンドを判断することが出来、また5MAの転身で早い段階でトレンドの終了を見ることが出来ます。
逆にデメリットはダマシに会うことも多いということです。敏感過ぎてまだ伸びるけど、ひと戻しに反応しちゃって…ということもあると思います。
パターン②ローソク足十数本分のトレンドを判断したいとき
短期、中期の2本のMAを使うことが有効かと思います。ここで例に出せるのはボリンジャーバンドのミドルライン20MAと、上位足のボリンジャーバンドミドルライン(現在足の20MA×上位足にするには何本のローソク足を束ねるか)MAを意識する方法です。
比較的長いトレンドを見ることができますのでトレンドの終わりまでしっかり見ることが出来ますが、パターン①より鈍感なため、起こりを捉えるのは難しいかと思います。
※期間は20と80を表示しました
パターン③同じ期間のSMAとEMAを表示してみる
どっちが意識されているかはわからないけど、その交点だったらどっちを使ってる人も意識するよね、という理論です。
ちなみに意識される水平線とその交点が重なってたら、みんな意識してるということです。
※100期間のSMAとEMAを表示してみました
パターン④いっぱい表示してみる
ふざけているわけではなくGMMAという考え方で、波状に広がるMAの波形を見てトレンドを把握していく手法です。
3,5,8,10,12,15のEMAをもって短期線とし、30,35,40,45,50,60のEMAをもって長期線する、たくさんのEMAを使ってトレンド方向とトレンド強さを認識していく手法です。
各EMA同士が離れているほどトレンドが強く、また近付くほどトレンドが失速します。
短期線のみが失速している状況では押し目としての考え方ができ、短期線と長期線両方がねじれていくような形をする場合はトレンドの転換が示唆されます。
考え方のベースはこんな感じで、例えばパターン①の短期線+パターン②の中期線表示なんかと組み合わせても良しです。
MAとは”トレンド方向と強さが視覚的にわかりやすくする”インジケーターなので、その目的意識さえあれば、何を表示しても自由だと思います。
こういった考えのもと、こういう使い方をする、ということが説明できれば十分使いこなせますね。
8.移動平均線はサポレジとして機能する
下支えするサポートラインや、上から抑え込むレジスタンスとして機能します。
これはなぜかというと、SMAやEMAというのは世界中でシェアしているインジケーターだけあって、意識されやすいというのがあります。
またインジケーター自体のパラメータによって、意識されるMAとされないMAがありますが、されているように見えているけど近くの別パラメータMAが意識されていたということも当然あります。
しかしながら意識されているというのも実は眉唾で、たまたま当たっただけじゃね?という意見もあります。
わたし自身はどちらの意見でもなく、一見意識されているように見えていようがなにしようが、”今後も意識されているような動きをするなら理由は何でもいい”と思っています。
ではどのように意識されているかを見てみましょう。
せっかくなので前項で説明したGMMAを表示させてみます。
どのラインががどうサポレジとして機能しているかを見てみてください。
正直に申し上げましょう。
どこで意識されているともいえるのです。
しかし、意識されるのも確か、というのが困ったところで、意識されるのはわかってるんだけど、なぜ意識されるかと言うと、それはみんなが意識しているから…という解答になっちゃいます。
意識されているとはなにかと掘り下げれば注文が入るからなのですが、それが過去に意識された価格帯にMAも到達したから意識されるパターンもあります。
”意識されるMAを探す”ことも、チャートに水平線を引くのと同じくらい大切なことかもしれませんね。
航海で例えるなら、目的地を決めるということに近いのかもしれません。
9.移動平均線タッチはエントリートリガーではない
①トリガーでなければなんだというのだ
手法とかの紹介ページなんかでよくあるのですが…
「このタイミングで**MAにタッチしたらエントリー」という言葉の本質についてお話ししたいと思います。
本来であれば、トレンドの方向さえ確定すればいつエントリーしてもいいですよね?
取りたい波形の一つの中の小さな波形の高値だとしても、結果から見れば利益は十分とれるはずなのに、なぜローソク足のMAタッチをトリガーにするのでしょうか?
ダウ理論的には高値、安値の更新がなければトレンド継続ですから、本当にどこからでもエントリーしていいはずなんです。
なのに、なぜ…
意外とMAタッチでエントリー手法を使っていてもこの質問にしっかり答えられない人は多いかと思います。
なぜかというと勝ててるからですね。
過程をすっ飛ばしていても勝てる人は勝てるんです。妬みです!! 嫉妬が深い!!
本題の”~~のタイミングで、**MAにタッチしたらエントリー”という手法についてですが、手法には必ず意図があるので、それを分解してみていくことが大切です。
今回の場合ですと、”~~のタイミングで” ”**MAにタッチでエントリー”の2つに分けられると思います。
というのも、前半部分は環境認識を示していて、後半部分はエントリータイミングについて示しているのでこれは分けて意図を察するべき、なんですね。
まずは前半の”~~のタイミングで”についてです。
よくあるのが「3本の短期MAがパーフェクトオーダーを示したら」とか、「n期間MAとn期間MAのゴールデンクロスを確認したら」とかっていうのが多く使われていますし、明確に使ってはいないけどMA複数使っていて視覚的に目に入っているという人も多いかと思います。
その中でも大事なことは「環境認識をした」ということです。
今現在見ているチャートで、どのような環境認識を行って、どのようなトレンド方向で、どのくらいの強さを伴っているか、というのが視覚的に理解できているはずです。
理解できているはず、というか、理解していなければいけないんです。
理解した上で、次のエントリーに進むわけです。
”**MAタッチでエントリーする”についてですが…。
手法によっては**の部分は変わりますが、MAタッチの部分は変わりないかと思います。
読んで字のごとく、「環境認識をして」「MAタッチでエントリーする」んですが、語ることもないんです。
語ることもないって言うのが言いたいことだったわけですが…。
つまり、移動平均線にタッチすること=エントリーのタイミングではありますが、環境認識を伴わないMAタッチはエントリータイミングではないということです。
何が言いたいかと言うと、「~~のタイミングで**MAタッチでエントリー」の手法においては
”「~~のタイミングのが重要である」ということ”を言いたいんです。
さらに突っ込んでいえば、MAにタッチ自体はトリガーではありますが、環境認識ではありません。
MAとは何を示すものか、覚えてますか?
MAを使うことで”トレンドの方向”がわかって、”環境認識”に役に立つのです。
MAで大事なのは環境認識に役立つということですよ!
②じゃあなんでMAタッチをトリガーにするのだ?
理由は三点あると思います。
第一に”抜けの一押しはタッチしやすいこと”
第二に”トレンド継続中に深戻ししたら結構伸びるでしょ”
そしてその二つに共通する”トレンドの終わり際ではタッチしないから”
第一の理由に関して、抜けというのは”密集からの抜け”という意味です。
様々な期間のMAが密集した状態=レンジ状態を抜けトレンドが出る瞬間の一押しというのは、密集した状態のMAから抜けて、ちょっと戻したときに中期や長期のMAにタッチしやすいという状況を指します。
ここはトレンドの始めに近いので、大きな伸びを期待できます。
第二の理由は、”トレンド継続中の大きな戻しはオーバーシュートの一押しでは?”ということです。
短期MA、中期MA、長期MAでトレンドが確認できているときの中期MAのタッチというのは、トレンド継続なのに深戻ししたら、より良いエントリーポイントになるんじゃない?ということです。
ここは深戻しからの一撃なので、深く戻した分リターンも大きいという期待ができます。
第三の理由は”トレンドが伸び切るころには中期長期のMAをだいぶ引き離してるからタッチしないでしょ”ということです。
言葉のままですが、トレンド終わり際で中期MAまでローソク足が伸びてくる場合はローソク足も何本分使って中期足まで伸びるので、すでに短期MAではトレンドの継続を示唆しない場合が多いです。
なので環境認識上でトレンド継続を確認できずにタッチするので、エントリータイミングとしては適切ではないということがわかります。
10.まとめ
駆け足気味に説明しましたが如何だったでしょうか?
伝えたかったことをまとめると…
①MAを使うことで”トレンドの方向”がわかり、”環境認識の一助”になる。
②MAタッチはエントリーの根拠にはならないが、理解して使うことで利点もある。
③エントリーの根拠とするためには、欲しい情報を得るためのMAパラメータ設定がいる。
ということを理解していただければと思います。
そして読者の皆様にはインジケータに支配されず、インジケータを支配するトレーダーになっていただけたらと思います。